赤い警告灯をつけ、サイレンを鳴らして町中を駆け抜けるパトカーや救急車。もし、それらの車両と交通事故を起こしてしまったら過失割合はどうなるのでしょうか。今回の記事では緊急車両と四輪車両との事故における基本の過失割合と、通常の四輪車同士の過失割合との違いについて解説していきます。
道路交通法によると緊急車両とは消防車、救急車及び政令で定められた自動車のことです。
パトカーや救急車だけでなく、ガス会社や水道会社などの民間企業が災害時の復旧などに用いる車両も含まれます。
しかし、それらの車両がいつでも緊急車両として認められる訳ではありません。
緊急車両と認められるのは赤い警告灯をつけていること、サイレンを鳴らしていることの二つの条件をどちらも満たして走行している時だけ※です。どちらの条件も満たしていない状態では場合は通常の車両と同じ扱いになります。
※スピード違反の車を取り締まる時は例外としてサイレンを鳴らしていなくても緊急車両として認められます。
それでは緊急車両と四輪車との過失割合を確認していきましょう。過失割合とは交通事故に対して当事者間でどれくらい過失(事故の原因となる交通違反)があったかを数値化したものです。
今回は優先道路を走行する車と非優先道路を走行する車の交差点における衝突事故が起きた際の基本の過失割合を例に、通常の四輪車同士の交通事故と緊急車両との交通事故との過失割合の違いを説明していきます。
まず緊急車両では無い通常の四輪車同士が衝突事故を起こした場合、基本の過失割合は以下のようになります。
①通常の四輪車同士の交差点における出会い頭の交通事故
優先道路を走行する車両は非優先道路と交差する交差点において徐行義務が無く、非優先道路を走行する車両は優先道路を走行する車両の進行を妨げてはならないと道路交通法(第36条2項)で規定されているため、優先道路を走行する車両(A)の過失は以下のように少なく設定されています。
②緊急車両と通常の四輪車同士の交差点における出会い頭の交通事故
同じく優先道路を走行する直進車両が緊急車両と衝突した場合は以下のようになります。
比較してみると通常の四輪車同士の事故では優先道路を走行する車両の過失割合が10と設定されているのに対し、緊急車両との事故を起こした場合では80と大きく過失が認められていることが分かります。
なぜ同じ条件の事故でも緊急車両との事故では通常車両の過失割合が大きくなるのでしょうか。
それは緊急車両が道路交通法上において、その役割から道路交通法上に優先的な地位が与えられているからです。以下のような道路交通法上における特例が適用されます。
・停止義務の免除
赤信号や停止線など通常であれば一時停止を必要とされる場所を一時停止せずに走行可能
・最高速度の緩和
緊急車両は速度標識に関わらず一般道路においては時速80km、高速道路においては時速100kmまで最高時速が認められています。また、スピード違反を取り締まる緊急車両は最高速度の規制が適用されません。
・通行に関する特例
通行止めや一方通行の規制が敷かれている道路を走行したり、追越しが禁止されている場所での追越しなど通常の車両では認められない走行方法を行うことができます。
逆に緊急車両以外の車両に対しては以下のような義務が課せられています。
・交差点やその付近において緊急車両が接近してきた場合、緊急車両以外の車両は交差点を避け道路の左側に寄って一時停止しなければならない※
・交差点やその付近以外において緊急車両が接近してきた場合、緊急車両以外の車両は道路の左側に寄って進路を譲らなければならない※
(※一方通行の道路など左側によることで緊急車両の通行を妨げてしまう場合は、道路の右側に寄らなければならない。)
以上のような緊急車両がもつ優位性とそれ以外の車両に課せられた義務があるため、事故が起きた際に、緊急車両以外の車両に基本の過失割合が大きく設定されています。先ほどの優先道路を走行する車両と緊急車両との事故では優先道路を走行する車両に緊急車両の交通を妨げない義務が生じているため基本の過失が大きく設定されています。
いかがでしたでしょうか。緊急車両に比べて通常の車両の過失割合が大きく認められていることが分かったと思います。緊急車両は事故や事件、災害に対応して私たちの生活を守るために運用されています。緊急車両のサイレンが聞こえたら、車を近くの道路端に止め、走行の邪魔や事故の原因とならないようにしていきましょう。
交通事故でお困りの方へ
交通事故鑑定はこちら
S様
父が交通事故被害に遭い、突然亡くなりました。
加害者の供述、警察の実況見分調書記載の内容に納得いかず、事故の際、前後をたまたま走行していた両車両タクシーのドライブレコーダー映像を観て、加害車両の速度等の解析について、すがる思いでジェネクスト社へ依頼しました。
解析結果では、加害者の供述を遥かに超えた速度が算出され、公平なる意見書を作成、また適切なアドバイスを頂け、納得のいくサービスでありました。
反省のない被告に対し少しでも罪の意識をもってほしいとの気持ち、また、父親の名誉の為「真実は何か」との思いで裁判証拠資料として提出させて頂きました。
裁判等初めての経験ではありましたが、ドライブレコーダーの重要性を再認識させて頂いたと共に、今後、同様に事故の被害に遭われた方々には、ジェネクスト社への相談を是非おススメしたいと思います。
西条タクシー株式会社 代表取締役 西条勝昭様
タクシー会社を経営していると、いろいろな事故を扱います。
しかしここ数年、事故の相手方に悪質なケースが急増していることを実感しています。
今回の事故も、明らかに相手方の重過失で通常の事故処理で終わるはずでした。ところがどういう訳か、突然当社の乗務員が事情聴取され、行政処分の通達まできてしまいました。明らかに何かのコネクションによる力を感じました。
ドライブレコーダーの映像があったので裁判まで持ち込もうと思いましたが、ジェネクスト株式会社の笠原氏と出会い、ドライブレコーダーの解析、調査書を作成してもらい、検察に提出したところ、裁判をするまでもなく不起訴処分を勝ち取ることができました。
今回の件で、ドライブレコーダーの映像だけでなく、しっかりとした事故解析、それを文章化した調査書が非常に重要だと感じました。
笠原氏には、本当に感謝しています。非常識な加害者や不当な処分からドライバーを守るために、ジェネクスト株式会社を心から推薦致します。