国土交通省によると令和4年度に高速道路においては車両からの落下物が年間26万件も確認されています。一日辺りに換算すると平均で700件以上の車両による落下物があることになります。もし、高速道路走行中に落下物と事故が起きたら過失割合はどうなるのでしょうか。今回は落下物と事故を起こした際の基本の過失割合と修正要素について解説していきます。
国土交通省によると令和4年度における高速道路の落下物処理数は年間で31万件でした。そのうち、野生動物のロードキルが5万件であったため、車両からの落下物は年間で約26万件確認されていることになります。
落下物の中で特に多いのがゴムやプラスチックなどですが、タイヤなどの車両部品や木材などもあります。
道路交通法上では、一般道路を走行する際に積載している物の転落や飛散の防止が義務づけられています(道路交通法第74条1項)。
また、高速道路を走行する際には「積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない(道路交通法75条10項より)。」と規定されています。
そのため、高速道路上において落下物を発生させ事故を起こした場合は、一般道路よりも事故を起こした責任が重くなると考えられています。
続いて、車両による落下物で事故が起きた際の基本の過失割合について解説します。
過失割合とは、事故が起きた際の責任の割合を数値化したものです。民事裁判や示談では決定した過失割合を基に事故後の補填額等が決定することになります。過失割合は事故の種類によって過去の判例から決定されます。
事故の種類によって設定されている基本の過失割合と、事故の内容によって設定される修正要素があります。
高速道路の落下物によって事故が起きた場合の基本の過失割合は以下のように、先行車A(落下物を発生させた車):後続車B=60:40となります。
ここでは、落下物が比較的近距離になって落下物が持つ危険性を認識できること、落下物が接触によりハンドルやブレーキ操作に影響を与える大きさのものであり、後続車についても前方不注視があることを前提とした基本の過失割合です。後続車の前方不注視が前提となっているため後続車に対しても基本の過失割合が40に設定されています。
先行車と事故を起こしたときに、後続車はどのような修正要素に注目すれば良いのでしょうか。
以下が後続車両が主張すべき修正要素です。
・後続車Bの視認不良
基本の過失割合は、後続車Bが落下物を確認することができることが前提のため、後続車に対しても40の基本の過失割合が認められています。
そのため、後続車Bが夜間や降雨などにより落下物を確認できない視認不良の状態だった場合、落下物を確認することができないため、先行車Aの基本の過失割合に対して+10されます。
・追越車線
落下物が追越車線にある場合、後続車Bは落下物への発見や回避が通常の走行車線よりも困難になるため、先行車Aの基本の過失割合に対して+10されます。
・後続車Aが自動二輪車
後続車Bが自動二輪車の場合、落下物に対して回避することが四輪車の場合よりも困難になるため、先行車Aの基本の過失割合から+10されます。
・先行車Aのその他の著しい過失、重過失
先行車Aの運転にその他の著しい過失があった場合は基本の過失割合に対して+10、その他の重過失があった場合は+20されます。
その他の著しい過失の例としては、前方不注視、ハンドル・ブレーキ操作不適切など。
その他の重過失の例としては居眠り運転、無免許運転等があります。
他の例として、先行車Aの荷物の積載方法が著しく不適切である場合は、程度によっては著しい過失・重過失にあたります。
また、油やガソリンなどを流出させた場合は、後続車の発見の困難さや後続車に対して危険性が高いことから重過失として扱われる場合があります。
高速道路を走行中に落下物による事故にあわないためには、以下のポイントを意識して走行することが重要です。
・車間距離を十分に空け、前を見て走行する
落下物を早めに確認できるように、速度に応じた車間距離を空けて、落下物に気づけるようにしっかりと前を見て運転を行いましょう。落下物がある際に道路情報表示板に表示がされてる場合があるので適宜確認するようにしましょう。
・速度を落として走行しましょう
法定速度内での走行を行いましょう。速度を出しすぎている場合、落下物を確認することができても回避行動を取ることができなくなってしまいます。特に夜間は速度を落とし、ライトをハイビームにし落下物に気づけるようにしましょう。
・落下物の危険がありそうな車両には近づかない
荷台の上で荷物が固定されていない車両など、風や少しの衝撃で荷物が落下する危険があると思われる車両には近づかないようにしましょう。
高速道路を走行中に落下物により、危険な目にあったり、場合によっては事故になってしまうことがあります。車両に荷物を載せる際は、きちんと固定し、落ちることで後続車に危険を与えないようにしましょう。
そして、高速道路を走行する際は車間距離を十分に空けて、落下物などの異変にすぐに気づけるようにしっかりと前をみて走行しましょう。
また、落下物による事故が起きてしまった際に、事故の加害者がはっきりしない場合があります。そんな時はドライブレコーダーで事故の様子を確認してみましょう。
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S様
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今回の事故も、明らかに相手方の重過失で通常の事故処理で終わるはずでした。ところがどういう訳か、突然当社の乗務員が事情聴取され、行政処分の通達まできてしまいました。明らかに何かのコネクションによる力を感じました。
ドライブレコーダーの映像があったので裁判まで持ち込もうと思いましたが、ジェネクスト株式会社の笠原氏と出会い、ドライブレコーダーの解析、調査書を作成してもらい、検察に提出したところ、裁判をするまでもなく不起訴処分を勝ち取ることができました。
今回の件で、ドライブレコーダーの映像だけでなく、しっかりとした事故解析、それを文章化した調査書が非常に重要だと感じました。
笠原氏には、本当に感謝しています。非常識な加害者や不当な処分からドライバーを守るために、ジェネクスト株式会社を心から推薦致します。